【論考・評論】学校教育における神道の位置

現代日本の学校教育における神道の位置―社会学的視座から―

文責・筌之口重範

 日本全国の宗教系学校を、宗教別に数と比率を調べると(1992年現在)、大学・短大・高校・中学・小学校の合計で、キリスト教621校(67.4%)、仏教248校(26.9%)、新宗教40校( 4.3%)、神道12校( 1.3%)である(井上1997)。数値を見れば一目瞭然だが、宗教系学校におけるキリスト教の圧倒的な優勢と、神道の圧倒的な存在感の無さが際立っている。

 中等教育における宗教教育の影響度に関する調査としては、1990年度から95年度にかけて行われた國學院大学日本文化研究所のプロジェクト「宗教と教育に関する調査研究」において、宗教系学校に通う中学高校生に対するアンケート調査が行われている。 それによると、「宗教に関係した学校に通ったことで、その宗教を信じようと思ったことがありますか」との質問には、「信じるようになった」との回答が21.5%あった。「信じるようになった」という回答を宗教別に見てみると、カトリック24%、プロテスタント9%、仏教7%、神道13%であった。 上記のアンケート結果だけから判断すると、宗教系学校の上述のような状況は、そのままキリスト教の伸張と、神道の衰退を意味すると言えるのではないだろうか。

 公立学校においては政教分離の原則から特定宗教の宗派的宗教教育が行われていないことは当然だが、客観的な神道の知識伝達についても、体系的な知識伝達は行われていない。(歴史や倫理などの科目において、断片的に神道の知識が教授されているのみである。) また、高校用の倫理の教科書(『高等学校 倫理』数研出版、2006年)の目次を見ると、キリスト教や仏教、イスラーム、ユダヤ教などの名称を冠する項目は存在するが、神道という名称を冠する項目はひとつも存在しない。神道いう名称を意図的に目次に載せないようにしているようにも見える。 教育界における神道無視・神道忌避の傾向は、キリスト教系学校など他宗教の学校はもちろんのこと、日教組の影響力の強い公立学校においても顕著といえる。日教組は、マルクス主義イデオロギーを根底に持っているとされており、宗教のなかでも特に神道を敵視していると言われている。(日教組の影響力の強い公立学校や教育委員会における、神道への差別的・敵対的な教育内容・言説については、松浦光修による「公権力による神道差別教育」などに詳しい。)

 井上順孝によれば、神道が社会に伝達される重要な経路として、「目に見える回路」と「目に見えない回路」の2つが存在するという。「目に見える回路」とは教化活動や神道的教育であり、「目に見えない回路」とは、日本文化や日本社会の中で意識されずに伝達されている神道的知識や神道的感覚だと言う(井上2006)。 とするならば教育界においては、敵対的ではない神社や神道に関する情報伝達の回路、すなわち「目に見える回路」はほとんど存在しない(機能していない)と言ってよいのではないだろうか。

このページの掲載・更新日
2007-07-24
(以下略)