「千五百秋」創刊の辞

東京大学初の神道系雑誌、創刊

 このたび、東京大学神社神道研究会から、神道系雑誌「千五百秋」が創刊される運びとなった。

 「千五百秋」は「ちいほあき」と発音し、「長い年月」「永遠」を意味する。「千五百」は「非常に大きな数」を、「秋」は「年」の意味を表している。この言葉は、記紀における日本の美称「豊葦原千五百秋瑞穂国」に現れるように、古くから使われてきた。

 今回この雑誌を創刊するにあたりこれを「千五百秋」と名づけたのは、この雑誌、そして神社神道研究会が末永く発展するようにという願い、また、ひいては神道という文化がこれから先いつまでも途絶えることなく受継がれ続けていくようにという願いからのことである。

 本誌は東京大学神社神道研究会の有志会員が作成する東京大学初の神道系雑誌である。その内容は、東京大学における神道研究復活の魁となるべく会員たちによる学術的な文章を掲載する一方、これまで神道には興味のなかった人たちが読んでも面白いと思って読んでもらえるような読みやすい記事をも掲載している。

 硬軟織り交ぜたこの方針は一見乖離しているようにも思われるが、しかしこれまで神道に興味がなかった人たちに少しでも関心を抱いてもらうためには興味深く面白い記事を書く必要があるだろうし、一方で神道研究の再興という観点からは学術的に有意義な文章をも掲載する必要がある。いずれにも偏らず、この両方を追求することこそが東京大学における神道研究の再興には不可欠であると信ずるものであり、「千五百秋」はこの方針に基いて編集される。

 この神道という文化は、簡単にいえば「〈かみ〉を畏れ敬うこと」であり、この〈かみ〉とは、本居宣長の説いたごとく「古典に現れる天地の神のみならず、人を含めた鳥獣木草、海や山、その他なんでも、普通ではない何かを有した畏れ敬うべき存在」のことである。古くより人びとは〈かみ〉を畏れ敬い、祀りをなし、そして〈かみ〉の宿る自然と調和しつつ過してきた。

 この神道の精神は現在でも人びとに影響を与え続けており、日本文化の中においても重要な位置を占めている。

 それにも関らず、東京大学における神道研究は、終戦後に「神道研究室」が廃されて以降現在に至るまで、六十年以上に渡り途絶したままとなっている。「千五百秋」は、東京大学における神道研究再興の一助となり、また多くの人びとに神道という日本文化の存在を知ってもらうきっかけとなることを目指す。

文責・「千五百秋」編集人

このページの掲載・更新日
2007-11-28
(以下略)